(1)事業承継の概要

経営者が会社の将来を考えると、「廃業」するか「誰かに継がせる」しかありません。

「廃業」であれば、会社の売れるものは売り、廃業手続きを行い、精算します。経営者が亡くなり廃業する場合は、精算して残ったお金を相続人で分けます。

会社を「誰かに継がせる」ことを「事業承継」と言います。
会社と一言で言っても、建物・土地といった会社が持っている資産だけではなく、その会社のブランドや信頼度・取引先や負債など、会社の全てを継がせなければいけないことがポイントです。
「事業承継」は、会社の全てを「相続」「贈与」することという言い方もできます。

株式会社や特例有限会社は、会社の資産は会社に属するため、事業承継でやり取りされるのは株式だけです。つまり、会社の全ては株式に置き換えられているということです。誰が株式を引き継ぐかで、会社の将来が決まります。
個人事業は、表面上は会社の資産に見えても、すべて経営者個人の資産です。経営者の資産を引き継ぐ人が、そのまま会社を引き継ぐことが多くなります。

いずれにしても、事業承継をすれば、人を雇い仕事を続けなければいけません。会社の後継者=相続人とは限りません。経営者が死亡し相続が発生した場合でも、会社を分割することは出来ないのです。後継者を選び、相続でもめず、会社を存続させられるよう事前準備することが事業承継で重要になります。