しょうすうかぶぬしけん / Rights of Minority Shareholders
少数株主権とは、議決権総数・発行済株式総数に対して一定以上の株式を有する株主が行使できる権利をいう。
具体的には、株主提案権、取締役・監査役の解任を求める権利、帳簿閲覧権などが代表的である。
少数株主権に対して、1株のみ有する株主であっても行使可能な権利を単独株主権という。
株主は所有株式数に応じた権利の配分を受けるため、大株主になるほど会社経営への影響力を強められるが、権利を行使するには発行済み株式総数の一定数以上の保有が必要になる。
少数株主権については、議決権割合または株式の数および一定期間の継続保有が必要となることもあるが、各権利によりその要件は異なる。
なお、公開会社の場合は、株式の保有については、6ヶ月前から引き続き保有していることを要求する場合があるが、公開会社以外の株式会社については、保有期間の要件はない。
■解散の訴えの提起
⇒総株主の議決権の10%以上の議決権または発行済株式の10%以上の議決権または発行済株式の10%以上の株式・保有期間の要件なし
次の場合において、やむを得ない事由があるときは、少数株主は、訴えをもって株式会社の解散を請求することができる。
①会社が業務の執行において著しく困難な状況に至り、当該会社に回復することができない損害が生じ、または生ずるおそれがあるとき
②会社の財産の管理または処分が著しく失当で、当該会社の存立を危うくするとき
■役員の解任の訴えの提起
⇒総株主の議決権の3%以上の議決権または発行済株式の3%以上の議決権または発行済株式の3%以上の株式・6か月間の継続保有
役員の職務の執行に関し不正の行為または法令もしくは定款に違反する重大な事実があったにもかかわらず、当該役員を解任する旨の議案が株主総会において否決されたときは、少数株主は、当該株主総会の日から30日以内に、訴えをもって当該役員の解任を請求することができる。
■会計帳簿・資料の閲覧
⇒総株主の議決権の3%以上の議決権または発行済株式の3%以上の議決権または発行済株式の3%以上の株式・保有期間の要件なし
少数株主は、会社の営業時間内はいつでも、請求の理由を明らかにすることにより、会計帳簿またはこれに関する資料の閲覧または謄写の請求をすることができる。
ただし、会社は一定の事由に該当するときは、この請求を拒否することができる。
■業務・財産調査検査役専任請求
⇒総株主の議決権の3%以上の議決権または発行済株式の3%以上の議決権または発行済株式の3%以上の株式・保有期間の要件なし
少数株主は、会社の業務執行に関して、不正の行為、法令もしくは定款に違反する重大な事実があることを疑うに足りる事由があるときは、当該会社の業務及び財産の状況を調査させるため、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをすることができる。
この申し立てを受けた裁判所は不適法として却下する場合を除いて、検査役を選任しなければならない。
■役員などの責任免除に対する異議権
⇒総株主の議決権の3%以上の議決権・保有期間の要件なし
一定の株式会社は、会社に対する損害賠償責任について、会社に損害を与えた役員等が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がない場合において、一定の額まで、取締役会の決議によって免除することができる旨を定款で定めることができる。
この取締役会決議に対して、少数株主は、一定期間内に異議を述べることができ、少数株主によって異議が述べられたときは取締役会決議による賠償責任の免除を行うことはできなくなる。
■株主総会・種類株主総会の招集請求および招集
⇒総株主の議決権の3%以上の議決権・6か月間の継続保有
少数株主は取締役に対し、株主総会の目的である事項及び招集の理由を示して、株主総会の招集を請求することができ、請求の後遅滞なく招集の手続が行われない場合等のときは、裁判所の許可を得て、株主総会を招集することができる。
なお、この株主総会の目的である事項は、この株主が議決権を行使することができる事項に限られる。
■総会検査役の選任請求権
⇒総株主の議決権の1%以上の議決権・6か月間の継続保有
少数株主は、株主総会に係る招集の手続及び決議の方法を調査させるため、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをすることができる。
この申し立てを受けた裁判所は不適法として却下する場合を除いて、検査役を選任しなければならない。
■議案の要領の通知請求権
⇒総株主の議決権の1%以上または300個以上の議決権・6か月間の継続保有
取締役会設置会社において、少数株主は取締役に対し、株主総会の目的である事項につき当該株主が提出しようとする議案の要領を株主に通知することを請求することができる。
なお、取締役会のない会社においては、議案通知請求権は単独株主権となる。