アーンアウト条項

あーんあうとじょうこう / Earn out Clause

アーンアウト条項とは、M&Aの契約で、買手企業が買収対価の一部を支払いに対し、売手企業に一定の条件を付けることである。
買収対価の一部を、買収後の一定の条件と連動させることで、リスクの分配を行い、買収対価に関する相互の見解の溝を埋めることが出来る。条件とされることが多いのは、純利益・売上高・営業利益・EBITDA・営業キャッシュフロー・フリーキャッシュフローなどの財務指標である。
最終契約書で、いくつかの条件を設定し、それが一定期間内に満たされた場合にのみ、追加の買収対価を支払うことを規定した取引をアーンアウト・ディールという。
追加代金の支払い義務をアーンアウトと呼ぶ。
アーンアウト・ディールは、買手企業が予め決めていた条件の達成に応じ、数年間に分けて、売手の株主や幹部に買収対価を分割払いする。例えば、買収対価を全額一括払いせず、まず60%の金額で買収し、翌年に利益目標達成率などに応じて残金を支払う、といった形となる。
アーンアウト条項のメリットは、売手側は、売却後も経営に参画できるならば、結果を出せばさらにキャッシュを手に入れられる点だ。買手側にとっては、有効なリスク回避の方法となる。最初は手堅いと思われる範囲で資金を出し、結果が出てから売手に追加の代金をボーナスとして支払えばよい。
デメリットは、売手側は一括で対価を受け取れないため、多額のキャッシュを手に入れることができないことである。
買手企業がリスク軽減の目的で行うことが一般的で、大企業が成長途上の非公開会社(ベンチャー企業)やバイオ製薬会社を買収するケースで採用されることが多い。

留意点①アーンアウトにおける評価指標

買手が支配権を取得した後、買手がアーンアウト条項に基づく支払いをなくしたり、支払額を低下させようと動く可能性がある。それを防ぐため、売手は、一定期間は経営に参画するなどして、目標達成の結果が買主により操作されることを防ぐ工夫が必要になる。

留意点②アーンアウトの評価期間

アーンアウトの評価期間が長くなると、予測していなかった事情が発生することがあるので、ある程度短く設定するべきである。一般的には評価期間を3年以内としている場合が多い。

留意点③再売却するケースの想定

買手が売手の同意なく対象事業を売却すると、アーンアウトの支払い条件が満たされたかどうかを評価できなくなり、売手の支払いを受ける権利が侵害される恐れがある。
買手がアーンアウト条項で決めた支払いを前倒しで行うことで、売手のアーンアウトに関する権利が消滅するなどの条件を加えることも必要である。

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