(3)相続財産の分け方

相続財産の分け方

教えて!Mr.MIKE

相続財産は相続人の共有です。
分割方法が決まるまでは、勝手に使用や処分はできません。
相続人が複数人いるとき、被相続人が亡くなった時点では相続財産は相続人全員の共有となります。その後、民法で定められた相続人や相続分をもとに相続財産を分割します。分割の方法には次の3つの方法があります。

①遺言

  被相続人の遺言があれば、それに従って分割します。遺言(指定)相続は、民法で定められた法定相続に優先します。ただし、一定の相続人には遺留分(※)が認められます。  
 
POINT
※遺留分とは・・兄弟姉妹以外の法定相続人に認められる、最低限の遺産取得分のことです。たとえば、配偶者と子が相続人の場合、遺留分は配偶者が4分の1、子が合計で4分の1となります。

遺言書には、自筆証書遺言と公正証書遺言と秘密証書遺言があります。

自筆証書遺言は、費用もかからず、証人も不要ですが、死亡後発見されない、あるいは発見されても発見者がそれを隠したり捨てたりする可能性があります。自分で書いて押印できますが、書式は定められたものでなければ効力がありません。また、開封するには裁判所の検認が必要です。

公正証書遺言は、遺言者が公証人に内容を伝えて、公証人が作成します。ある程度の時間と費用がかかり、証人も二人必要ですが、遺言が存在することを隠蔽されたり、捨てられたりする可能性はありません。

秘密証書遺言は、公正証書遺言と同じく公証役場で作成手続きをしますが、遺言内容は公証人に知られずに作成できるので、絶対に亡くなるまでは秘密を守りたい、誰にも内容を知られたくない、という場合に利用されています。実務上はあまり使用されているものではありません。

 

②相続人の遺産分割協議

  遺言がない場合、相続人の間で自由に決めることができます。ただし、遺言があっても、相続人全員の合意があれば、遺言に従わず協議による分割も可能です。

遺産分割協議が成立したら、後日無用なトラブルが起きないようにするため合意内容を記した遺産分割協議書を作成します。できれば、相続人数分作成して、各自保管するのがよいでしょう。

遺産分割協議書は、不動産や預貯金、株式、自動車等の名義変更手続きや相続税申告書に添付するためにも必要です。

 
     

③家庭裁判所の調停や審判

  相続人の間での分割協議がまとまらない場合、家庭裁判所に調停や審判の手続を請求できます。

まず、家庭裁判所に調停を申し立てます。調停は合議制で進められ、当事者間の話し合いによる解決をはかります。合意が成立しないときは、調停は不成立となります。

調停で相続人の意見が一致すれば、その内容は調停調書に記載されます。調停調書は裁判の確定判決と同じ効力をもっていますので、相続人は必ず従わなければいけません。なお、調停調書の記載に従って分割する事を調停分割といいます。

調停が成立しない時、裁判所の判断によって分割方法を定めてくれるように申し立て、その審判に従って分割する事を審判分割といいます。審判は、家庭裁判所がする一種の裁判のことです。

裁判所は当事者や利害関係人の言い分を聞いて、色々な調査をして、具体的な分割の審判つまり決定をします。家庭裁判所は、必要があれば、遺産の全部または一部について分割を禁止することもできます。