(4)相続税の計算

相続税の計算

教えて!Mr.MIKE

いきなり自分の相続分に対する相続税を計算しません。
法定相続人の法定相続分に基づいて相続税の合計を計算します。
その合計の中の、自分の相続割合の相続税を支払います。

①「課税価格の合計」を求める

まずは、相続税の課税対象となる相続財産の合計金額を求めましょう。
相続や遺贈によって財産を取得した人のすべての財産について、各人ごとに計算して課税価格を求め、最後に合計します。
各相続人等の課税価格の合計額(A) 本来の相続財産
みなし相続財産
3年以内の贈与財産
相続時精算課税制度を選択した贈与財産
非課税財産
債務・葬式費用
POINT
※相続税の土地建物の価格(評価)とは・・
相続税の計算をする時に、土地建物は、実際に売却するわけではないので、一定のルールで価格を計算します。
土地の価格(評価)= 路線価 × 奥行価格補正率×面積
路線価のない土地の価格(評価) = 固定資産税評価額 × 一定の倍率(国税局が地域ごとに定める)
※一定の要件を満たす宅地は、小規模宅地の評価減の特例を受けることができます。
建物の価格(評価)= 固定資産税評価額
※借家の場合、固定資産評価額より借家権割合(30%)減額できます。

②「課税遺産総額」を求める

その次に、基礎控除を差し引きます。
基礎控除とは、無条件で一律に課税価格から差し引きできる金額のことです。
課税対象の金額が安くなると、税金も安くなります。
課税遺産総額(B) 課税価格の合計額(A)
遺産にかかる基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)

③「相続税の総額」を求める

相続税の合計を求めるには、いきなり、実際にもらった人のもらった分の相続税を計算しません。
まずは、法律に従って法定相続人の法定相続分に対する相続税を計算します。
法定相続人の取得金額 課税遺産総額(B)× 法定相続分
各法定相続人の相続税 法定相続人の取得金額
× 税率(※1)- 控除額(※2)
相続税の総額(C) 各法定相続人ごとの税額を合計
法定相続人の取得金額 税率(%)※1 控除額 ※2
1,000万円以下 10
3,000万円以下 15 50万円
5,000万円以下 20 200万円
1億円以下 30 700万円
2億円以下 40 1,700万円
3億円以下 45 2,700万円
6億円以下 50 4,200万円
6億円超 55 7,200万円

④「各相続人の相続税額」を求める

各相続人の相続税額 相続税の総額(C)
× 各相続人の課税価格/課税価格の合計額(A)

⑤「各相続人の納付税額」を求める

以下のような各種税額の加算や控除を行います。

加算

①相続税額の加算
被相続人の子(被相続人の養子となっている孫で代襲相続人でない孫を除く)、父母、配偶者以外の者の相続税額は20%割増しされます。

控除

①贈与税額控除
相続開始前3年以内の贈与財産を受けたものが、課税価格に加算された場合、その贈与財産にかかる贈与税相当額を控除できます。
②配偶者の税額軽減
配偶者については、「課税価格の合計額」のうち、法定相続分の額または1億6,000万円のいずれか大きい額まで非課税となります。
③未成年者控除
相続開始日の年齢が20歳以下の場合、20歳に達するまでの年数に10万円を乗じた額を控除できます。(1年未満の期間は切り上げて1年として計算)
④障害者控除
障害者で相続開始日の年齢が85歳以下の場合、85歳に達するまでの年数に10万円(特別障害者は20万円)を乗じた額を控除できます。
⑤相次相続控除
10年間に2回以上の相続があった場合税負担が軽減されます。
⑥相続時精算課税制度贈与税額の控除
相続時精算課税制度を適用していた場合、相続税額から、相続時精算課税制度における贈与税相当額を控除できます。
⑦外国税額控除
外国にある財産を相続や遺産で取得し、その国で相続税に相当する税金を支払っている場合は、その税額を控除できます。