(1)収用等の代替資産取得の特例

概要

これは、対価補償金等で他の土地建物に買い換えたときは譲渡がなかったものとする特例です。
この特例を受けると、売った金額より買い換えた金額の方が多いときは所得税の課税が将来に繰り延べられ、売った年については譲渡所得がなかったものとされます。
売った金額より買い換えた金額の方が少ないときは、その差額を収入金額として譲渡所得の金額の計算を行います。

POINT
「収用等の5,000万円特別控除の特例」との併用はできません。

個別法

収用等された資産(譲渡資産)を次の4つに区分し、それぞれ区分ごとに代替資産を取得しなければなりません。

収用資産の区分 代替資産
土地
土地の上に存ずる権利(借地権等)
同左
※土地の地目の種類を問いません。
①建物
②建物付属設備
③建物に属する構築物
(門、塀、庭園、貯水槽、その他これらに類する資産)
同左
※建物の用途を問いません。
建物に属する構築物以外の構築物 同左
その他の資産 同左
※収用資産と同種類および同用途に限ります

一組法

収用等された資産が、個別法の①~③までの区分の異なる2以上の資産で次の①~⑤の用途に供されて、一組の資産となっている場合は同用途ごとに代替資産を取得することができます。

収用資産の用途 代替資産
住居の用 同左
店舗または事務所の用 同左
工場、発電所または変電所の用 同左
倉庫の用 同左
劇場の用、運動場の用、遊技場の用、その他これらの用の区分に類する用 同左

事業承継法

収用等された不動産が個人の事業用資産である場合は、その個人の事業用土地等又は減価償却資産に該当する代替資産を取得しなければなりません。

適用上のポイント

①本特例の適用を受けた場合は、居住用3,000万円特別控除の特例、居住用買換の特例、事業用買換の特例等の適用は受けられません。
②事業用買換の特例のように、70%~80%の課税の繰延べという制限はありません。100%課税の繰延べです。また、面積制限もありません。
③短期保有資産でも長期保有資産でも適用が受けられます。
④居住用資産でも非居住用資産でも適用が受けられます。

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