M&Aにおけるクロージングとは、最終契約書に基づくM&A取引が実行され、株式譲渡や事業譲渡の引渡し手続きと、譲渡代金の支払い手続き(決済手続)により、経営権の移転が完了することである。
一般的には、売手の履行義務である譲渡対象物の引渡しと、買手の履行義務である対価の支払いがされるが、スキームごとに内容が異なってくる。
株式譲渡であれば、株券の引渡しと対価の支払いによって完了する。他方、事業譲渡では、移管される資産・負債、権利義務について個別に移管手続を行い、第三者の承認を得ながら進めていく必要があるので、一定の日付でクロージングするものではない。
第三者割当増資であれば、新株の払込みの実行、合併・株式交換等では、当事会社間の組織統合が完了し、それぞれ新株の交付がされる。
例えば、株式譲渡などの場合、最終契約を締結した後、M&A契約の前提条件である重要な従業員の転籍同意書の取得、重要な取引先の契約承継の同意、業法上の許認可の取得、非事業用資産の売主による買い取り、役員に対する借入金の返済などが行われる。
これらの前提条件がすべて整い、譲渡対価の決済および株券や会社代表印の引渡しなどをすべて完了して、はじめてクロージングを迎える。
クロージング日においては、当事者間で、M&Aの実行・完了のために必要な書類の確認と、その書類の有効性・適格性の確認、書類の署名押印の確認などが行われてから、株式譲渡の手続きとそれに対する譲渡代金の支払いが行われる。
最終契約日からクロージングまでは一定期間あけることも多いが、契約日までにクロージングに必要な手続きがすべて終了している場合や、契約日後に必要な手続は適正に完結させることが前提で、契約日と同時にクロージングを実施する場合もある。
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